男の子のプリキュアなんて欲しくない

こんな書き方をすると、後進的だとか、排他的だとか、ジェンダー規範に縛られてるだとか、そういう風に言われると思う。なんなら自分でも心が狭い考え方だと思う。けれど、この気持ちにどうしても決着がつかないから、自分のために書くことにする。

 

 はぐっとプリキュアで、女の子だってヒーローになれる、男の子だってお姫様になれる、そういうセリフがハッキリ出てきた。これ自体はなにも間違ってないと思う。女児アニメで男児の肯定をすることも、女児アニメの視聴者層に男の子がいる事実自体は無視できないし、否定しようとは思わない。

 私が心底嫌なのは、こういう話から「男の子もプリキュアにしてくれ」という意見が通ってしまうことだ。

 

 パンチやキックやかめはめ波みたいな破壊光線で戦う女の子のアニメが、未就学児や小学生の女の子に向けた作品群の中に無かったからこそ、初代である「ふたりはプリキュア」のコンセプトは「女の子だって暴れたい!」だった。

 女の子が主役の、女の子のためのバトルアニメがプリキュアなのだ。なぎさとほのかは、イケメンの先輩への恋心に振り回されたり、同級生に告白されて戸惑ったり、テストの点数でテンションが下がったり、友達との関係に悩んだり、ほんとうに自分が悪いやつらを倒せるのか怖くなったりするふつうの女の子で、特別力が強いとか、戦闘経験があるとかじゃないけど、「光の戦士」だった。プリキュア5は「全員が女の子」で「ピンクがリーダー」の戦隊ものだった。バラバラのメンバーが選ばれ、集い、巨悪と戦う。みんなの秘密基地があったりするのもそうだ。

 

 兄弟が自分以外男ばかりで、家の中では男の子の中の一員だった私は、恐竜や甲虫や戦隊やライダーに興味を持っていたし、ラブアンドベリーよりムシキングのカードを集めたかったけど、見知らぬ男の子はどうしても怖くて、近寄れなかった。だからこそ「バトルがメイン」のプリキュアが、「女の子のためにある」ことに救われたのだ。かわいい服なんてオマケだ。かわいい服を着たい男の子の受け入れ先がプリキュアである必要なんて全然無い。

 そんなにかわいい服を着たいなら、男の子が主役の、男の子のためのアイドルアニメとかファッションアニメが作られたらいいのに、なんでプリキュアに来ようとするのか。

 女の子のためのバトルアニメも、女の子のための戦隊ものも、未だにプリキュア以外にはあまり見かけない。プリキュアが、もともと男の子に独占されていた場所に、女の子の居場所を作ってくれた。そこに男の子の居場所を作れなんて、言わないで欲しい。嫌だ。

 

 プリキュアまで男の子に取られたくない。